日本に影響あった?2007年に起きたペットフード大量リコールの真実!
家族の一員であるワンちゃんが食べるペットフードは飼い主が正しい知識を持って選ばないと、ワンちゃんの健康リスクを高める恐れもあります。
人間が食べる食品とは違い、ペットフードの安全性についてはこれまでかなり軽視されていました。日本でペットフードの安全や品質を確保するための法律ができたのは2009年からとつい最近のことです。
それまではペットフードの品質などについては基本的に各メーカーに委ねられていました。過去には世界的な事件が起こりました。2007年に起きたペットフードの大量リコール事件をご存知でしょうか。
ペットフード大量リコール事件の概要と経緯
2007年に発生したペットフード大量リコール事件は、ペットフードの汚染によって起こった世界規模の事件です。ペットフード業界の倫理観が大きな問題となりました。
リコールは北米とヨーロッパさらに南アフリカで起こりました。これらの国でペットの腎不全が続々と報告されたことで大量リコールが行われます。
中国の会社によって製造された小麦グルテン入りのウェットフードを食べたことが原因です。
リコールの開始
消費者からのクレームを受けたカナダの会社が動物実験を実施、この実験でも病気や死亡する結果が出たためにリコールを開始します。
それからまもなく腎不全によるペットが大量に死亡するという報道がありました。これを受け、汚染した小麦グルテン入りのペットフードを使用していた他の企業もリコールを始めます。
さらに1か月後にアメリカで同じく中国の別の会社によって製造された汚染されたコメタンパク質が原因と見られるペットの腎不全が起こります。南アフリカではトウモロコシグルテンによる腎不全が起こります。
事件による被害総数
このペットフード大量リコール事件による被害総数についてまとめてみます。
- 消費者からのリコール関連での苦情は15,000件以上
- ペットの死亡数は3,600匹以上
- 企業数社によるリコール数は5,300以上
アメリカ食品医薬品局、FDAによれば、消費者からリコール関連で15,000件以上の苦情があったことを認めてますが、この事件による具体的なペットの死亡数についてはコメントしていません。
とあるウェブサイトの調べによれば3,600匹のペットが死亡していると報告されていますが、専門家によれば潜在的な死亡数は数千匹に上るのではないかとも言われています。
また総リコール数は5,300以上で、ペットフード業界は経済的な大打撃を受けました。
メニューフーズ社とは?
消費者からのクレームを受けて、ペットの腎不全とペットフードの関係性を調べるために動物実験が行われます。この動物実験を行ったのがカナダにあるペットフードメーカーのメニューフーズ社です。
動物実験の結果を受け、メニューフーズ社は2006年12月3日から2007年3月6日までに出荷されたペットフードの大量リコールを行います。
大量リコールの中には日本での知名度の高いメーカーも多数含まれていました。メニューフーズ社では4頭の猫と1頭の犬が死亡したという報告があったために自社で動物実験を実施します。
問題となったフードを食べた9頭もの猫が死亡し、リコールの届け出を出しました。
どのような症状が現れた?
ペットフード大量リコール事件が起きた時、ペットの飼い主はこれらの兆候に注意するようアドバイスされていました。
- 食欲不振
- 無気力
- 吐き気
- 下痢
- 頻尿
- 突然の喉の渇き
これらの症状は腎不全の兆候です。もしもこれらの症状が出たらすぐに病院に連れて行くように言われていました。
腎不全かもしくは他の病気の兆候も考えらえるので、リコール対象のペットフードを食べていないペットでもすぐに医師に診てもらうようアドバイスされました。
この事件では2007年3月の最初のリコールより1年前に、メニューフーズ社にペットが病気になったとの苦情が届いています。
事件の原因
大量リコール事件では多くのペットが腎不全になったのですが、その病因についてはこれらの汚染物質が挙げられています。
- アミノプテリン
- メラミン汚染された小麦グルテン
- シアヌル酸
メニューフーズ社で行われた試験ではペットの腎不全が起こった原因についての特定ができませんでした。
そこで食品サンプルをコーネル大学に送り化学分析を依頼したもののここでも原因が特定されず、ニューヨーク州食品検査研究所へサンプルが送られます。
そこでサンプルにアミノプテリンが含まれたことが報告されます。ニュースではこのアミノプテリンが殺鼠剤(さっそざい)と報道されます。
それからFDAは病因の可能性として、中国から輸入された小麦グルテンの中に工業用化学物質のメラニンが入っていることが確認されたと報告します。
匿名のペットフード会社が小麦グルテンのサンプルを調査していた時に分かったものです。
FDAはこの小麦グルテンを生産した中国の会社を特定し、輸入を禁止します。それからも汚染は広がり、1か月後には南アフリカでも腎不全になるペットが続出します。
今回の事件による余波
2007年に起きた大量リコール事件で大量のペットが死亡すると同時に、メニューフーズ社だけでも日本円で47億円もの損失がありました。
ペットフード業界は大打撃を受けた大事件なのですが他にもさまざまな余波がありました。この事件による余波はこちらです。
- 各企業では自社工場で製造するなど管理体制の強化が進む
- 日本ではペットフード安全法ができる
多くのペットが亡くなるという痛ましい事件でしたが、この事件でペットフード業界は大きく改善されていきました。
一流ブランドのペットフードの多くが自社工場で生産されなかった現状が明らかになったわけです。
しかし、この事件を契機として原材料の管理から製造、販売まで自社一貫で行う企業が増えました。日本ではペットフード安全法という法律も整備されました。
事件のドッグフードは日本にも来ていた?
メニューフーズ社が製造しリコール対象となったペットフードには日本でも知名度の高いメーカーも多数含まれていた。ですから日本にも汚染されたドッグフードが来ていたのか気になる人も多いでしょう。
しかし2007年に起きたペットフード大量リコール事件では、日本国内での被害がなかったと言われています。それはメニューフーズ社を始め多くのメーカーのリコールが素早く行われたことが挙げられます。
またリコール対象となった商品がアメリカやカナダ、メキシコで販売されたもので、正規輸入元からは日本には入らなかったためです。
危険なドッグフードはなくなったわけではない
2007年に起きたペットフード大量リコール事件から、ペットフードのメーカーでは原材料の管理を自社で行ったり製造も自社工場で行うなど、管理体制が強化されていきました。
日本では2年後の2009年にはペットフード安全法も施行されました。大切なペットの健康を脅かすような危険なドッグフードはなくなったのかと思いますが、実は今でも数は少ないですがリコールは起きています。
日本では原材料の不当表示や金属混入の疑いや異臭、サルモネラ汚染などでリコールが起こっています。
海外でもプラスチック片の混入や健康被害の報告、サルモネラ汚染などの理由でリコールが起きています。
やはりペットフードの原材料は人間の食べ物のように新鮮で良質なものが使用されていないのが事実です。安いドッグフードにはそれなりの理由があります。
日本のドッグフードを選ぶべき?
ペットフードの大量リコール事件では、ペットフードに中国産原料のメラニン汚染された小麦グルテンが混入されたことが原因でした。
そのため多くのペットフードメーカーでは、中国産の原材料を使うのを敬遠するようになりました。
事件が起きてから長い時間が経っていますがやはり中国産のドッグフードは選ばないという人が多いでしょう。
原材料の産地を確認するのが大切
日本産のドッグフードであれば安全なのでしょうか。ドッグフードに記載されている原産国に日本と書かれていても原材料はまた別です。
原産国は最後の加工を行った国のことなので原材料まで国産であるという意味ではありません。
外国産の原材料を使用しても最終加工を日本で行えばそのドッグフードの原産国は日本です。原材料の産地まで詳しく記載されたフードなら安心でしょう。
安全なドッグフードを選ぶ方法
安全なドッグフードを選ぶためにはこれらのポイントをチェックしてください。
- 最初に表示された原材料
- 原材料の名称
- 合成添加物の有無
- 原材料の産地についての詳細
ドッグフードを選ぶときにはパッケージの裏に表示された原材料をしっかりチェックすることが大切です。
一番多く含まれた原材料から表示されているので、まずこれをチェックします。ワンちゃんは本来肉食なので最初に穀物が表示されたものよりも肉類が表示されたものがおすすめです。
原材料の名称が○○パウダーや○○ミールと表示されているものは要注意です。原材料そのものに合成添加物を使用した加工品ということです。
ドッグフード自体の合成添加物の有無もチェックしましょう。天然由来のハーブなどが使用されたものなら安心です。また肉や野菜などの産地の詳細を表示していないドッグフードも要注意です。
まとめ
2007年に起きたペットフード大量リコール事件では有名ブランドでさえも自社工場で生産されていなかったことが明らかになりました。日本でもペットフードに対して不信感を募らせた人が多いでしょう。
多くのペットの命が奪われるという悲しい事件だったのですが、各メーカーでは自社工場を持ったり日本ではペットフード安全法ができるなどの改革が行われるきっかけになったのも事実です。
しかしその後もリコールはなくなっていないのも事実です。飼い主さんは正しい知識を持って自分の目で確かめてペットフードを選ぶことが何よりも大切です。原材料についてしっかり調べて選ぶことが大切です。
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