もしもの時に知っておきたい!犬のパルボウィルス感染症の治療法とは
犬のパルボウィルスは感染すると2日以内に亡くなってしまうことも考えられる怖い病気です。ワクチン接種で防げる病気ではありますが、母犬からの抗体が切れる時期や免疫力が低下しているぶ高齢犬は注意が必要です。
ただパルボウィルス感染症を発症したからといって100%亡くなってしまうわけではありません。完治して元気に生活している犬もたくさんいます。まずは飼い主としてパルボウィルスの症状や治療方法を知っておきましょう。
犬のパルボウィルス感染症とは?
犬のパルボウィルス感染症はイヌパルボウィルスに感染することで発症します。人間では聞いたことがない病気かもしれませんが、犬が感染すると致死率が非常に高く、発症してからわずか数日で亡くなってしまう場合もあります。
感染力も非常に強く、自然界でも生き延びられるウィルスで、ウィルスを完全に避けることはなかなか難しいです。そのため、しっかりとパルボウィルスの症状を見極め、早急に治療を開始することが必須です。
ただ犬のパルボウィルスはワクチン接種が有効で、成犬なら感染を避けることができます。ただ生後2ヶ月以降の子犬でワクチン接種をしていない犬や、免疫力が低下している高齢犬は感染する可能性があるので注意しましょう。
パルボウィルスとは?
犬や猫を飼っている人、飼ったことがある人はパルボウィルスの名前くらいは聞いたことがあるはずです。逆に飼ったことがない方は初めて聞くウィルスではないでしょうか。パルボウィルスは人に感染するものもあります。
ただパルボウィルスは特定の種の動物と親和性があり、イヌパルボウィルスはイヌ科にしか感染しないので人間には感染しません。その他にもネコ科のみに感染するネコパルボウィルスもあり、ウィルスの性質はイヌパルボウィルスを同じです。
人から人へ感染するヒトパルボウィルスもありますが、犬のパルボウィルスのように致死率は高くなく、成人は自覚症状がない場合もあります。ただ妊娠初期の感染は胎児の死亡や流産の危険性がありますので、注意は必要です。
犬がパルボウィルスに感染する原因
犬のパルボウィルスの原因はイヌパルボウィルスの感染ですが、その感染原因は幅広くあります。以下がパルボウィルスの主な原因になります。
- 経口・経鼻感染
- 母子からの感染
- ウィルスの接触
パルボウィルスは自然界でも生きられる強いウィルスです。そのためパルボウィルスに感染した犬と一緒に生活していれば高い確率で感染します。また近くに感染犬がいなくても、便や唾液などのついたものに触れることでも感染します。
ですので散歩している時に知らずに感染してしまうこともあります。またイヌパルボウィルスは人には感染しませんが、飼い主が感染犬に触れたり、ウィルスのついたものに触れたりすることでウィルスを持ち込むこともあります。
100%パルボウィルスを近付けないことは難しいです。どこで感染したのかわからないというケースも少なくありません。まずは感染犬に近付けないことはもちろん、ワクチン接種や徹底的な消毒などの予防が必要になります。
犬がパルボウィルスに感染したときの症状
パルボウィルスはワクチン接種などで予防ができますが、それでも100%感染しないということはありません。特に母犬からの抗体が切れる時期の子犬や、免疫力が低下している高齢犬は感染リスクが高くなります。
発症すると致死率が非常に高い病気ですが、早期発見・早期治療すれば命を取り留め、元気に生活することも可能です。まずは飼い主がしっかりとイヌパルボウィルスの症状を知り、早急に病院に行き治療を開始することが大切です。
腸炎型の症状
腸炎型のパルボウィルスは、腸陰窩細胞やリンパ組織、骨髄などが破壊されてしまい、腸粘膜が正常に作られなくなるタイプです。それによりさまざまな症状を引き起こすことになります。以下が腸炎型の主な症状です。
- 元気がなくなる
- 激しい下痢
- 嘔吐
- 食欲不振
- 発熱
- 脱水症状
- 血便
下痢は灰白色や黄灰白色になることが多く、水溶性で悪臭がします。重症化するとトマトジュースのような血便が出るようになります。下痢や嘔吐が続くため脱水症状や衰弱を引き起こし、亡くなってしまうケースもあります。
一般的に腸炎型は放置していると約90%の確率で、発症から1日から2日で亡くなってしまいます。そのため、ちょっと便が変だな、元気がないけど少し様子を見るか、などと呑気に構えていると翌朝亡くなっているなんてこともあります。
心筋炎型の症状
心筋炎型のパルボウィルスは子宮内にいる時、もしくは生後1週間以内に感染した場合に発症するケースがあります。以下が心筋炎型の主な症状になります。
- 急に悲鳴を上げる
- 呼吸困難
- 嘔吐
- 息切れ
- 脱水症状
腸炎型のパルボウィルスは放置していると1日から2日で亡くなるケースが多いですが、心筋炎型のパルボウィルスは、ある日突然亡くなるケースが多いタイプです呼吸困難を引き起こしてから30分で亡くなってしまうケースもあります。
そのため原因不明の突然死と判断し、パルボウィルスに感染していたことを知らないまま亡くなるケースもあります。急激に症状が現れるので、飼い主が気付いて動物病院に駆け込んでも手遅れになってしまうことが多いようです。
発症が夜中になることも当然ありますから、前日まで元気だったのに翌朝見たら亡くなっていた、なんてことも十分考えられるでしょう。
パルボウィルスの検査方法と治療法
パルボウィルスのような症状が現れたら、早急に動物病院に連れて行きましょう。そこではまずどんな症状なのか、そしてパルボウィルスなのか他の病気なのか検査します。パルボウィルスの場合、有効な薬剤はありません。
そのため症状を和らげる対症療法と二次感染を防ぐ抗生物質の投与が主な治療法になります。それでも対処が遅れれば手遅れになってしまうケースも少なくありません。ここでは検査方法と治療法について説明していますので頭に入れておきましょう。
検査方法
イヌパルボウィルスの検査には2つの方法があります。1つは血液を採取して白血球の減少を確認する血液検査と、もう1つが犬の糞尿中からウィルス抗原を検出するELISAキットを用いる方法です。
ただ初期の段階では白血球は低下しないことがあるので、一般的には検査キットを用いて診断することが多いようです。しかも検査キットだと短時間で調べられるので、早期治療が必須のパルボウィルスには最適でしょう。
これらの検査によってイヌパルボウィルスに感染していることが判明したら、早急に犬を隔離して治療を始めることになりますが、たいていは入院ではなく通院になります。
とはいえ、パルボウィルスに感染している疑いがある時点で隔離されるでしょう。
対症療法
パルボウィルスに感染したら早急に治療を開始することになりますが、残念ながらパルボウィルスを撃退する特効薬はありません。そのため症状に合わせた対症療法を行うことになります。主な対症療法は以下の通りです。
- 下痢…下痢止めの投与
- 嘔吐…吐き気止め、絶食・絶水
- 酷い脱水症状…点滴や酸素補給
その他にも症状に合わせて抗生物質の投与や免疫力を高める薬の投与などをおこないます。
あくまで現状の症状を和らげながら犬の体力や免疫力を高め、回復を待つことになります。対症療法は初期治療が大事です。
発見が遅く、発症してから5日ほど経ってから対症療法を始めても手遅れになってしまいます。対症療法で回復を待つにも早期発見・早期治療が欠かせません。
二次感染予防の抗生物質の投与
パルボウィルスに感染すると激しい下痢や嘔吐を繰り返し脱水症状を引き起こします。そのため犬は体力がなくなり、本来持っている免疫力も低下してしまい、他のウィルスや細菌に感染するリスクが高くなります。
それによりほかの病気を併発し、命を落としてしまうケースも少なくありません。そういった二次感染予防のために、対症療法とともに抗生物質の投与もおこなわれます。場合によってはインターフェロンを投与することもあります。
こういった対症療法と二次感染予防の抗生物質の投与により、1週間ほどで快方に向かうケースもあります。
治療費はいくらかかる?
愛犬がパルボウィルスに感染してしまったら、亡くなってしまうことも頭に入れておかなければいけません。ただ、それとともに、検査・治療を行ったらどれくらいの費用がかかってしまうのか頭に入れておく必要があります。
イヌパルボウィルスの疑いがある場合には血液検査やELISAキットを使った糞尿検査がおこなわれます。
主に対症療法と二次感染予防の抗生物質の投与になるので、使用する点滴や抗生物質、その回数によっても費用は変わります。目安としては、4日間入院した場合には5万円から6万円かかることが多いようです。
ただ、完治までには1ヶ月ほどかかることもあるので、回復した犬なら実際はそれ以上かかってしまうでしょう。10万円以上かかったケースも少なくないようです。
まとめ
犬のパルボウィルスは致死率が非常に高い病気で、タイプによっては突然死してしまうケースもあります。パルボウィルスに効く薬剤もないので、基本的には犬の体力と免疫力をサポートしながら回復を待つ対症療法しかありません。
発見が早く初期治療すれば1週間ほどで回復することが多いのですが、逆に発見が遅れてしまうと手遅れになってしまいます。パルボウィルスを発症しないためには、しっかりとワクチン接種することが大切です。
ただ生後間もない子犬は母犬からの抗体も切れて感染する恐れがあります。万が一パルボウィルスの主な症状を引き起こしたなら、1分でも早く動物病院に連絡してみましょう。甘く見ていると翌朝亡くなってしまうなんてこともあるので注意しましょう。
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