愛犬が発症する前に知っておきたい!肺炎を引き起こす5つの原因
代表的な肺の病気である肺炎ですが、肺炎は実は人間だけではなく犬も患うことがあります。また人間と同様に肺炎は悪化させると命を落とす危険性のある病気ですから、悪化させることなく早めに対処することが求められるでしょう。
肺や気管支に炎症をおこす肺炎は犬にとっても非常に辛い病気で、呼吸が苦しくなるなどの症状が現れ、特に子犬や老犬など免疫力の低い犬の場合は注意しなければなりません。一刻も早く原因を突き止めて症状を改善させる必要があります。
犬の肺炎とは?
肺炎と聞くと人間の病気のイメージが強いかもしれませんが、犬も時として肺炎を引き起こすことがあります。その名の通り肺や気管支などに炎症をおこす病気のため、発症すると呼吸困難になるなど危険がつきまといます。
肺という臓器は空気中の酸素を体内に取り込み、それを二酸化炭素に変換して排出させる非常に重要な機能を携えている臓器です。そのためこの肺に炎症をきたすということは、役割を全うできなくなるため呼吸が上手にできなくなってしまいます。
呼吸困難に陥るとなるとそれだけで危険性が高いのはよく理解できるでしょうから、肺炎が疑われる場合には一刻も早く治療することが大切です。
肺炎は単独で発症する病気ではなく、基本的には他の何かが引き金となり発症します。そのためその引き金となっている原因を特定し、それに合った治療をおこない治すことが求められる病気です。
健康な成犬の場合は肺炎にかかることはあまりないものの、子犬や老犬は発症しやすいため普段から気をつける必要があります。また健康な成犬であっても風邪などにかかっている時には併発しやすいため、油断できない病気なのです。
肺炎の原因とは?
肺炎は基本的に単独で起こる病気ではなく、他の何かの病原体が原因となり発症することがほとんどです。そのため原因を突き止めることは正しい治療をおこなううえで必要不可欠です。肺炎の主な原因としては以下があげられます。
- 細菌やウイルス
- カビ
- 寄生虫
- 薬剤や有毒なガス
- アレルギー
- 誤嚥
このように肺炎を引き起こす原因は実に多岐にわたるため、まずは考えられる原因を特定しなくてはなりません。
感染した病原体の種類によっては肺炎だけではなく、他の全身症状を引き起こすこともあるため注意して様子を見ましょう。
細菌
肺炎の原因としては細菌に感染していることによるものがあり、この場合は細菌性肺炎という名称で呼ばれます。犬が引き起こす肺炎の中でも非常に多い原因が、この細菌が元となっているものです。
肺炎を引き起こす細菌の種類は沢山あり、特に免疫力の備わっていない子犬の場合にはかかりやすいと言われています。細菌による肺炎の場合には、そもそも細菌が身体に入り込んでしまう異常を問題視する必要があるでしょう。
例えば糖尿病などの基礎疾患を抱えていたり、ストレスで免疫力が落ちていると細菌に感染しやすくなってしまいます。食生活や生活習慣を見直して細菌につけこまれない健康な身体づくりも、治療と一緒におこなうべきかもしれません。
ウイルス
犬が肺炎を引き起こす際にはウイルスによる感染症が原因となることもあります。とはいえウイルスそのものが肺炎を引き起こすことはほとんどなく、ウイルスによる感染症が悪化して肺炎を引き起こすケースが多いです。
ウイルスによる肺炎の場合ですと、原因となっているウイルスとしてメジャーなものには例えば以下が挙げられます。どれもいわゆる風邪のような症状を引き起こすウイルスで、犬がかかりやすい病気になります。
- イヌパラインフルエンザウイルス
- イヌジステンパーウイルス
- イヌアデノウイルス2型
- イヌヘルペスウイルス
ウイルス性肺炎の場合にはワクチンで防げるものもあるため、日頃から予防の意識づけをおこなうのも大切です。
真菌
犬の肺炎の中には真菌、つまりカビの発生が感染の原因となっている場合もあります。肺炎の感染源となる真菌にはいろいろな種類がありますが、代表的なものを以下に記載します。
- プラストミセス
- アスペルギルス
- ヒストプラスマ
- クリプトコッカス
- マラセチア
カビは私たちの身近なところに気がつかないうちに発生していることも多いため、普段の生活の中でも注意が必要です。犬の場合はお散歩中に土壌や鳥の排出物に触れることで、真菌が思いがけず体内に侵入してしまうケースがよくあります。
カビは肺炎だけではなく他の病気を引き起こすこともあり、吸い込むと健康を損ねてしまいます。じめじめと湿気が多い季節などカビが発生しやすい時期はこまめに除菌するなど、カビが発生しないよう未然に防ぐことが大事です。
誤嚥性(吸引性)肺炎
本来ならば食道を通過しなければならないものが誤って気管に入ってしまい、その結果として気管が傷ついてしまい肺炎を引き起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎と呼び、食べ物や胃の内容物などが肺に入ったことが原因です。
誤嚥が肺炎の原因なわけですから、誤嚥を引き起こしやすい要因を持っている犬の場合には要注意となります。
普段からむせこむような食べ方をしている場合には、食事内容の改善に取り組むなど様々な対策を考えましょう。
その他
犬が肺炎を引き起こす原因として、細菌やウイルスなど以外にも例えば以下のようなものが挙げられます。肺炎の原因の中ではあまり多いわけではありませんが、可能性がある以上は覚えておくとよいでしょう。
- タバコなどの煙
- 有毒ガスを吸引したため
- 抗がん剤の副作用など薬剤の影響
- 放射線治療の副作用
タバコの副流煙は気管支や肺などに入ることで肺炎を誘発してしまいますし、肺炎にとどまらず他の健康被害をもたらす危険性もあります。常にタバコの副流煙を吸ってしまう環境は身体によくありませんので、飼い主は配慮してあげる必要があります。
また有毒ガスを吸引したことにより中毒症状に陥り、結果として肺炎となるケースもあるでしょう。
身の回りにあるスプレーや化学薬品など人間にとっては問題ないものであっても、犬にとっては毒となりえるものもあるため注意が必要です。
肺炎の症状
肺炎になってしまった際に現れる症状は実に沢山あります。また他の呼吸器の病気になった時に生じる症状とほぼ一緒のため、症状だけで直ちに真っ先に肺炎を疑うのは難しいかもしれません。
また呼吸器の病気だけではなく心臓など他の臓器に異常が生じた場合でも、呼吸器に症状が出ることもあるでしょう。主に以下の症状が見られますが、この症状が現れたからといって必ずしも肺炎というわけではありません。
- 発熱
- 咳
- 呼吸が速いなどの異常
- 吐き気
- 食欲不振
- くしゃみや鼻水
- 元気がない
これらの症状が出ても一概に肺炎と断定することはできませんが、悪化してしまいますとこれから肺炎になる危険性があります。特に免疫力が低下している時や他の病気にかかっている際などは一層注意する必要があるでしょう。
様態の変化や体調をよく観察し少しでも異変を感じたら早めに行動することが大事です。肺炎がひどくなるとチアノーゼや皮下気腫など死に直結する症状が現れることもあるため、やはり早く獣医にかかることが何よりも重要でしょう。
肺炎の対策方法
肺炎の対策方法としては、ウイルスが原因の肺炎ですとワクチンである程度防ぐことができますので、きちんと予防接種をしておくことが大事です。またウイルスや細菌に感染していないか健康診断をおこなうのも有効な対策方法でしょう。
ウイルスや細菌の感染にいち早く気がつくことができれば、肺炎の症状を引き起こす前までに治療をすることができます。肺炎以外の病気も悪化する前に治療に移ることができますので、定期的な健康診断はとても大切です。
ストレスなどで体力が低下していると免疫力が落ちますので、ウイルスや細菌につけこまれやすいです。
肺炎対策としてカビが蔓延する季節は真菌性の肺炎になる危険性がありますので、湿気が溜まらない環境を作るようにしましょう。こまめに掃除をおこない住環境を清潔に保つことも、肺炎予防としてはおすすめになります。
肺炎の治療方法
肺炎の症状を引き起こす原因としてはウイルスや細菌が原因の場合もあれば、誤嚥が原因のことなどもあり非常に多岐にわたります。そのため肺炎の治療はその原因に合わせた治療内容になるのが一般的です。
ですから一番最初におこなうのは原因の究明と特定で、しっかりと犬の状態を観察しておき獣医に正しい情報を伝えることが大切です。原因の究明を早くおこなうことができれば、その分早期治療に繋げられます。
例えばウイルスが原因の場合には抗生物質が処方されますし、細菌が原因になっているときには抗菌薬の処方といった具合に、原因に合わせた治療がおこなわれます。それと同時に辛い症状を緩和するための対症療法もおこなうことが多いです。
熱を下げたり呼吸を楽にするなど、症状に合わせて対症療法で症状軽減をおこない回復に繋げていきます。
まとめ
肺炎を引き起こす原因は実にさまざまですが、大切なのは肺炎にならないように普段から予防に取り組むことです。風邪などを引いてしまった際にもこじらせて肺炎になることのないように早めの治療が大事です。
肺炎は単独でおきる場合はほとんどなく何らかの別の病気に付随して発症しますので、そもそもそのような状況にならないようにすることが大切です。犬に異常を感じたらひどくなる前に受診するのが一番の予防かもしれません。
肺炎になる原因は沢山ありますが、免疫力が低下しているときが最もなりやすいため、普段から力をつけておくことが大切です。健康的な身体づくりをすることで、肺炎を遠ざけることができますので取り組んでいきましょう。
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