愛犬の脱毛症の治療には検査が大切!4種類の検査内容を知ろう!
犬の脱毛症は動物病院でさまざまな検査を行うことで原因が判明します。原因が分かれば適切な治療や対策が行えるので、できるだけ早く脱毛も解消されるでしょうし、原因の排除ができることでしょう。それにより犬も快適に過ごすことができます。
ここでは犬の脱毛症の原因と対策・予防法、そして実際に病院で行われるさまざまな検査と治療法についてまとめています。抜け毛が気になった方は参考にして、早急に動物病院で検査を受けてみましょう。
犬の脱毛症
犬は年に2回、春と秋に換毛期という毛が生え変わる時期があります。その時期になると抜け毛が多くなります。ですが、その時期でもないのに大量に脱毛する、局所的もしくは広範囲にわたって脱毛している場合には脱毛症の可能性が高くなります。
たかが脱毛症と思っていると、さらに抜け毛が増えてしまうこともありますし、脱毛以外にも様々な症状を引き起こしてしまう恐れもあります。脱毛症の場合は、早急に原因を突き止めて適切な対策を施す必要があります。
また脱毛症には特定の犬種だけ発症する病気もあります。それ以外の脱毛症はどんな犬でも起こりうるものですから、まずは脱毛症についての正しい知識と対策、そして治療法を知って愛犬をできるだけ苦しめないようにしましょう。
脱毛症になりやすい犬種
皮膚炎や内臓疾患によって引き起こされる脱毛症は、犬種に関係なく発症します。ですが、脱毛症の中にはアロペシアXという原因不明の脱毛症もあります。これはポメラニアン脱毛症とも呼ばれ、ポメラニアンに多く発症します。
半数はポメラニアンですが、それ以外にもトイプードルやシベリアン・ハスキーなども発症するケースがあるようです。また脱毛症とは異なりますが、ダブルコートの犬種は換毛期に抜け落ちる毛が多いので、念のため知っておくといいでしょう。
脱毛症の検査内容
脱毛症で動物病院に行った場合、その脱毛状態にもよりますが、検査をして原因を特定することになります。検査により原因が特定できれば、それに対しての治療をスタートします。主な検査内容を紹介します。
血液検査 | ホルモンの分泌異常の検査 |
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アレルギー検査 | アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、その他のアレルギーの検査 |
皮膚検査 | 脱毛の状態、ノミ糞やマダニの寄生、炎症などを視診 |
皮膚掻把検査 | 疥癬やアカラスなどの寄生虫の検出 |
血液検査
脱毛の症状が左右対称や一部分だけ薄くなり地肌が見える、もしくは広範囲にわたって脱毛しているような場合は、ホルモンの分泌異常による脱毛の可能性が高くなります。その場合には血液検査が行われます。
血液検査は血液を採取して、血中のホルモン濃度を測定することで、病気を特定することができます。副腎皮質ホルモンの過剰分泌が見られればクッシング症候群、甲状腺ホルモンの分泌量が減少していれば甲状腺機能低下症などと診断できます。
その他にもホルモンには性ホルモンや成長ホルモンがあり、性ホルモンの過剰分泌や減少、成長ホルモンの分泌減少などから脱毛症の原因を見極めます。その上でホルモン注射や投薬などで症状を緩和させていきます。
アレルギー検査
局所的な脱毛で痒みがあり、皮膚も荒れている場合は何らかの皮膚炎が原因の可能性が高いです。その皮膚炎の原因を突き止めるために行うのがアレルギー検査です。アレルギー検査にもいくつかの方法があります。
アレルゲン特異的IgE検査 | ハウスダストやカビ、花粉などのアレルゲンを特定します |
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皮内反応試験 | アレルギーの可能性のある物質を注射しアレルギー反応を確認します |
リンパ球反応試験 | 各種の食物タンパクとリンパ球を反応させアレルゲンになっている食物を特定します… |
除去食試験 | アレルギーの原因が含まれない食事を摂取して食物によるアレルギーかを判断します。食物を特定する際は原因となる食物を1種類ずつ与えて特定します。 |
皮膚検査
脱毛症の原因を特定するためにまず行われるのが皮膚の視診です。脱毛の程度や部位を確認するだけでもおおよその脱毛の原因が判断できます。例えばひっかき傷があれば、痒みがあるためアレルギーなどの皮膚炎と判断できます。
またよく見ることでノミ糞やマダニの寄生も確認できるでしょう。もし特に見た目では異常が見られない場合にはストレスの可能性や、ホルモン異常や糖尿病などの内臓疾患の可能性も出てきます。
視診で分からない部分はスタンプ検査をおこなうこともあります。これは病変部分をスライドグラスに押し付け、皮膚表面の分泌物や細菌などを採取し顕微鏡で確認します。細菌感染やアレルギー性細胞、炎症性細胞の有無を調べることができます。
寄生虫を調べる
寄生虫の有無を調べるにはまず、目の細かい櫛を使って寄生虫を検出するくし検査があります。ノミなどの大型の寄生虫で皮膚表面に寄生している場合、寄生虫そのものや糞を検出でき、これで判断できます。
また毛を直接顕微鏡で調べてみる被毛検査も行われることがあります。毛根部分の状態を見ることで毛周期の異常を判断することもできますし、切断面があれば犬が痒くて噛みちぎったのだろう、という推測もできます。
ただ疥癬やアラカスなど皮膚や毛穴の内部に入り込んでいる寄生虫は、上記の検査ではわからないので皮膚掻把検査をおこないます。皮膚掻把検査とは、皮膚の一部を削り取って顕微鏡で調べる検査になります。
脱毛症の治療内容
犬の脱毛症の治療内容は、脱毛の原因によって変わってきます。さまざまな検査によって原因が特定されたら、それに合った治療を始めます。アレルギーによる脱毛の場合は以下の治療内容になります。
- アレルゲンとなる物質を近付けない
- アトピー性皮膚炎の場合は抗アレルギー剤やステロイド剤
- ウイルスなら抗生物質、細菌は抗菌薬、真菌は抗真菌薬の投与
- こまめにシャンプーやブラッシングをする
- 栄養価の高いフードに切り替え抵抗力を高める
また脱毛症はホルモン分泌の異常により引き起こされる場合もあります。ホルモン性脱毛症の場合は以下の治療内容になります。
- 腫瘍など別の疾患が原因ならまず基礎疾患の治療
- クッシング症候群は副腎皮質ホルモンを抑える薬の投与
- 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの投与
- 成長ホルモンや性ホルモンの投与
このほかにストレス性脱毛症があります。治療内容は運動してストレスを発散させること、飼い主が愛情を注いであげること、生活環境を整えてあげることが治療になります。
脱毛症の原因
犬の脱毛症の原因はいろいろあり、大きく分けると皮膚疾患によって引き起こされる脱毛症、内臓疾患に伴う脱毛症、そしてストレスによる脱毛症があります。皮膚炎などの皮膚疾患の場合は痒みがあるために、犬自ら掻いたり噛んだりすることが原因です。
またストレスによる脱毛は、ストレスを抱えた犬が一部分だけ舐めたり噛んだりする行動を起こし、それが原因でその部位だけ脱毛します。内臓疾患による脱毛は、さまざま病気によって引き起こされています。主な疾患は以下の通りです。
- 糖尿病
- クッシング症候群
- 甲状腺機能低下症
それ以外にも原因不明のアロペシアXという脱毛症もあります。このように原因はさまざまありますが、素人目ではなかなか何が原因で脱毛しているのか判断できにくいです。間違った判断は重症化してしまうことになりかねません。
脱毛症の対策・予防法
犬の脱毛症は予防次第で発症リスクを抑えることもできます。また万が一脱毛症を引き起こしてしまったら、治療するのはもちろんですが、いろいろと対策を考えることも必要です。予防法は以下の通りです。
- 定期的なシャンプーで清潔に保つ
- 生活環境を清潔に保つ
- ブラッシングで毛の通気性を良くする
- 運動により身体を鍛えるとともにストレス解消
- 栄養価の高いフードやサプリで免疫力を高める
また脱毛症を引き起こしてしまうと、毛が抜け落ちてさまざまなリスクが伴うようになります。脱毛症の原因を排除する治療も大切ですが、それとともに治るまでのリスクを軽減する対策も必要です。以下のような対策があります。
- 服を着させて寒さ対策
- 玄関に入れる、暖かい毛布を準備するなど寒さ対策
- 日光浴で抗菌とともにストレス対策
- エリザベスカラーや犬用ブーツなどで患部を舐めないようにする
これらの対策や予防をしても脱毛してしまうケースはあります。ただやっておけば発症リスクも下がりますし、治りも早くなることでしょう。
抜け毛が気になるなら動物病院へ
飼い主にとって愛犬の抜け毛は気になるものです。それが換毛期による正常な脱毛の場合もありますし、老化による脱毛など対策の必要がない抜け毛もあります。ですが、それ以外の場合は何らかの原因により引き起こされています。
ただ脱毛の状態は犬によってさまざまですので、ちょっとした環境の変化からくるストレスかな、と勝手に決めつけ様子を見ている飼い主の方もいるのではないでしょうか。確かにその可能性もありますが、何らかの病気を発症していることもあります。
異常な脱毛だと思ったら早急に動物病院に行って診察・検査を受けてみましょう。原因によっては早期発見により大事に至らない場合もあります。一度受診すれば原因は分かるので、気になるなら受診が一番です。
まとめ
犬の脱毛症はアロペシアXという原因不明の病気もありますが、必ず原因は特定できるものです。その原因を排除する事ができれば、脱毛症も解消されるでしょうし、愛犬の苦しみも緩和させることができます。
犬の脱毛は直接命に関わるものではないと思いがちですが、クッシング症候群や甲状腺機能低下症などのホルモン分泌異常から引き起こされるケースもあり安心できません。これについても様々な検査をすれば判明し、治療法もあります。
また、皮膚炎やストレスによる脱毛症だとしても、適切な治療法や対策を行うことで完治しますし、今後の予防の参考にもなります。まずは原因を確かめるために動物病院に行って診察・検査をして、獣医の指示を仰ぐようにしましょう。
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